介護職員の給料は低い。
財務省は介護事業者への介護報酬をいったん減らしたうえで、その一部を介護職員の給料アップなどに使うことができるよう介護報酬の改定をもくろむ。
一方、全国老人福祉施設協議会は財務省の主張に反発している。

介護関連の給料

介護現場では低い給料への不満が広がっている。

関西の社福に勤める女性職員は月に7、8回の夜勤をしても月給は20万円ほどにしかならない。

厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、福祉施設で働く人の2013年の平均給料は月に約21万8千円、訪問介護で働くホームヘルパーは約21万8千円だった。

看護師は約32万8千円と大きく上回り、栄養士も約23万4千円と上回る。

介護職員らが入る労働組合「日本介護クラフトユニオン」では、組合員数は今年(2014年)春の約6万8千人から半年で千人ほど減った。

景気が持ち直してほかの給料が上がり、介護から離れた人がいるとみられる。

「組合員が減るのは初めて。組合員の平均月給は約21万3千円と低く、横ばいのままの給料で働き続けているため、慢性的な閉塞感がる」と事務局長は見ている。

介護職員処遇改善交付金

民主党政権時代の2009年、厚労省は介護職員1人あたり月に1万5千円を事業所に補助する「介護職員処遇改善交付金」の制度を設けた。

翌年(2010年)の調査で、9割近い事務所が制度を使い、これらの事業所では給料が月に約1万5千円上がったという結果をまとめた。

だが、この数字には疑問の声があり、「交付金が恒久的に出続けないだろうとみなす運営者が多かったため、ボーナスなどの一時金で出ることが多く、本質的な待遇改善にはつながっていない」という分析もある。

介護報酬の改定

来年度(2015年)には、介護保険から支払われる介護報酬について3年に1度の改定がある。

介護保険は40歳以上が払う保険料や税金でまかなわれており、負担を抑えながら、どう介護サービスを充実させ、介護職員の待遇を改善するかがテーマだ。
(朝日新聞2014/10/13記事より)
≪参照記事≫
介護保険「介護報酬」の改定
社会福祉法人の余剰金を人件費に