国の研究機関は独立行政法人の制度が適用され、ムダ排除が厳しく求められているが、「効率化ばかりで手足を縛られていては革新的な研究成果は出せない」、「研究者に高い給料を払えるようにして、国内外の優秀な頭脳にきてもらえるようにすべき」だという。
国立大学は2004年の国立大学法人化後、研究者の給料を自ら決められるようになったが、現実には学長より高い給料はほとんどない。
状況は研究開発法人と変わらない。
国立大学教授の給料
文部科学省の学校教員統計調査(2010年度)によると、国立大学の学長の給料は平均で月額103万7千円、教授は約52万9千円(諸手当含まず)。
1年分だと、学長約1244万円、教授約635万円の計算になる。
海外の大学教授の給料
海外の大学教授の給料(9か月分)は、
米ハーバード大学が19万4千ドル(1969万円)、
マサチューセッツ工科大学が16万7千ドル(1696万円)。
880万円の東大と2倍の開きがある。
給与システムの改革
文部科学省は近く、年棒制の導入など、国立大学の給与システムの改革を進める。
個別の事業では、研究者の給与を上げる試みはすでにある。
2007年度に始まった文科省の「世界トップレベル研究拠点プログラム」(WPI)。
東北大、筑波大、京都大などと、研究開発法人・物質材料研究機構など9機関に拠点がある。
このうち東京大のカブリ数物連携宇宙研究機構では、米カリフォルニア大から当時43歳の村山斉さんを機構長に招いた。
米国と同じ給料にしたら、東大総長の年収を上回ったことが話題になった。
独立行政法人法とは?
独立行政法人法は、橋本内閣の行政改革の一環で、2001年に創設された。
省庁から切り離し、コスト削減を目指す「独立行政法人通則法」が適用され、100機関が指定されている。
このうち国の37研究機関は、独法のほかに「研究開発法人」の名称がついているものの、基本的には他の独法と同列の扱いだ。
(朝日新聞2013/11/29記事より)