人口減を背景にした人手不足は深刻だ。
安倍政権は、現在15万人いる外国人実習生の拡充を打ち出す。
だが、現場では実習生を受け入れる事業所では低賃金や長時間労働などの労働関連法違反が多発している。

外国人技能実習制度とは?

日本の技術を学んでもらうため、外国人を受け入れる制度。
上限は3年。

簡単な作業をする単純労働者として受け入れてはならないが、農漁業、繊維など68職種で約15万人が働く。

安倍政権は、働ける期間を最長5年にしたり、新たに介護や林業も加えたりすることなどを検討している。

低賃金など劣悪な労働環境にあるとして、米国務省は「人身売買報告書」の2014年度版で、「強制労働の事例がある」と批判している。

労働関連法違反

厚生労働省が2013年に監督や指導した実習生を受け入れる事業所のうち8割の1844事業所で、残業代未払いや長時間労働など労働関連法違反があった。

このまま実習生の受け入れを増やして問題はないのか?

実習生の現状

政府は外国人技能実習生の拡充を目指すには理由がある。

それは、約50年後には15~64歳の生産年齢人口は3500万人減るというデータがあるからだ。(国立社会保障・人口問題研究所の推計などから)

働き手の不足を外国人技能実習生で補いたいという思惑がある。

現状、実習生の国籍は中国(69%)を筆頭にベトナム(14%)、フィリピン(6%)、インドネシア(6%)、タイ(3%)、その他と続く。

韓国の取り組み

韓国では2004年に外国人労働者の「雇用許可制」が導入された。
韓国政府と外国人労働者を送り出す国が覚書を結び、両国の公共部門が労働者の選定にかかわる。
覚書の締結先は当初の6ヵ国から15ヵ国に増えた。

受け入れ期間は基本的に3年だが、一定の条件を満たせば最長で通算9年8か月働ける。

韓国ではきつい肉体労働などを避けるムードが広がる中で1993年、日本の技能実習制度に似た「産業研修生制度」を始めた。

だが、労働者としての権利を保障されず、低賃金で働かされる例が続出。
不法滞在者も急増したため、現在の制度に移行した。

日本政府も、技能実習制度の見直し策として、送り出す国との「取決め」の締結を検討する。
(朝日新聞2014/12/25記事参照)