学生の就職戦線に明るさが戻っている。
景気回復に伴う人手不足を背景に、採用は中小企業を中止に増え、今春(2014年)卒業の高校生の就職率はバブル景気のころの高水準になり、大学生も3年続けて改善した。

高校生の就職率

厚労省が発表した今春卒業の高校生の就職率(就職希望者数に対する就職者の数)は98.2%。

4年連続の改善で、バブル景気のさなかの1988年の水準に並んだ。

大阪市内の府立高校では、建設業や製造業の求人が増えている。

都立墨田工業高校では、就職を希望した今春の卒業生120人に対し、約10倍の約1200件の求人が寄せられた。

大学生の就職率

文部省が発表した今春卒業の大学生の就職率は94.4%。
3年連続で改善した。

リーマン・ショックによる景気の落ち込みで、企業は採用を絞り込んでいたが、円安や株高による景気回復や震災の復興需要などが重なり、幅広い業種で人手不足が進む。

就職の実態

全体の就職率は上がっているが、個別には事情が異なる。

今春の大卒で就職を希望する40万6千人のうち、就職先が決まらず卒業した学生は2万2千人にのぼるとみられる。

これについて厚労省は「大企業で厳選採用を続いていることが影響している」とみる。

複数の企業から内定が出る学生がいる半面、まったく出ない学生もいる。
「二極化している面はある」(関西大キャリアセンター)という。

リクルートの推計では、2015年3月卒の大学生の求人数は、従業員数5千人以上の大企業は5%増にとどまる。

44%も増やす300人未満の中小企業とは対照的。
大企業は依然として「狭き門」だ。

証券各社が大幅増

業績が好調な証券各社も大幅に増やす見通しになった。

大手は今春より1~3割増、中堅では3倍超増やすところもある。
有望な若手を確保しようと、初任給を引き上げるなど「奪い合い」も起きている。

銀行などほかの業界からも有望な人材を引き寄せるためで、「各社とも大学の先輩らを投入して囲い込みに力を入れている」(大手幹部)という。
(朝日新聞2014/5/17記事より)

コメント

全体としては就職率は上がっている。
しかし、「就職率のアップ=就職しやすい」ということではない。

大手企業は相変わらず、狭き門だ。

就職率のアップは、学生が中小企業にも目を向け始めたことも一因だろう。

そして、アベノミクスの影響。

だが、果たしてこれを景気回復ととらえてよいのだろうか?
景気回復とはモノが売れ、それに伴って賃金が上がることである。

日銀がお金を市場に流し、その影響で株が上がり、証券業界がにぎわっているが、これではバブルと対して変わらないのではないか。

また、現在の状況は、脱デフレを睨んでの先行投資という意味合いが強いように感じる。