2014年の全国の有効求人倍率は、バブル期の影響があった1991年以来、23年ぶりの高水準になった。
ところが、賃金は同じく23年ぶりの高い伸びとなった物価の上昇に追いつかず、家計の支出は昨年(2014年)4月の消費税の増税以降、減少が続く。

有効求人倍率

ハローワークで仕事を探す1人に何人分の仕事があるかを示す有効求人倍率をみると、2014年の平均は、前年より0.16ポイント高い1.09倍だった。

1991年の1.4倍以来の水準で、年平均で1倍を超えたのは7年ぶりのこと。

宿泊・飲食サービス業や医療・福祉など、幅広い行刑で人手不足になっている。

子育てを終えた女性や高齢者らが働き口を見つけ、年平均の完全失業率も3.6%と4年連続で改善した。

雇用環境はよくなっているようにみえるが、働きたい仕事と企業が人材を求める仕事の差は大きく、求人も賃金水準の低い非正社員が中心。

正社員に限った有効求人倍率は2014年平均で0.66倍にとどまる。

非正社員1年前より49万人増え、昨年(2014年)12月時点で2016万人。
役員をのぞく働き手の38%が、非正社員。

賃金減少

2014年は春闘で大企業中心に賃上げの動きが目立ったが、人手を確保しようとパートやアルバイトの時給を上げる企業も多かった。

求人情報大手のリクルートジョブズによると、昨年12月の募集時の平均時給は、首都・東海・関西の3大都市圏で966円。
3か月続けて過去最高を更新した。

しかし、働く人が手にする賃金そのものは増えても、実質賃金は昨年まで1年5カ月連続で、前年を下回る。

物価の伸びを上回るまでに届かず、手取りは目減りした状態。

家計の支出減少の背景

消費税が8%になったことだけが要因なのか。
2014年平均の消費者物価指数(10年を100とした場合)は、価格の変動が大きい生鮮食品をのぞく指数で、前年より2.6%上がったが、総務省の試算では、増税分を除いた伸びも1.1%程度あるという。

チーズは12.0%、バターが4.5%上昇した。
円安を受けて外国パック旅行も値上がりした。

だが、大手各社が値上げを打ち出した食用油は、消費者物価でわかずな上昇にとどまった。
スーパーなど店頭での価格に必ずしも反映されているとは限らない。

消費者は財布のひもを引き締めたままで、昨年12月の家計調査でも2人以上の世帯の支出(実質)は9か月連続で前年を下回る。
(朝日新聞2015/1/31記事参照)