特別養護老人ホーム(特養)などの介護施設の職員不足が大都会を中心に深刻になっている。
職員不足は利用者にも影響し始めている。

介護職員の有効求人倍率

介護職員の「有効求人倍率」は全国平均で2倍を超えており、東京都が4.34倍、愛知県が3.96倍、大阪府が2.77倍など大都会を中心に高い。
※有効求人倍率とは、求職者1人に対する求人の数。求人は継続して働く職員の数をカウント。毎年10月時点の統計による。(厚生労働省まとめ)

この倍率全職種の1.02倍を大きく上回る。

施設が職員を募ってもなり手が少ないという状況が広がりつつある。

東京では職員が定員に満たない特養が続出し、新たな入居者の受け入れをやめたり部屋を一部閉鎖したりするところが出始めた。

特別養護老人ホームの職員数

国の基準では、利用者が3人に対して介護職員(看護師も含む)1人が必要威なっている。

この基準を下回ると、介護保険から支払われる介護報酬が3割カットされる。

特養は介護職員数が24時間いなければならないため、夜勤もある。

国の基準を満たすだけの職員数では、夜勤の回数が多くなるなど職員の負担が重いと考えられる施設もある。

このため利用者2人に職員1人といった手厚い職員定数を独自に定めている施設が多い。

特別養護老人ホームの現状

東京都内で特養などを運営する社会福祉法人でつくる東京都高齢者福祉施設協議会は昨年(2014年)12月、加盟法人が運営する特養445施設に職員の状況などを尋ねた。
都内の特養の多くが対象になっている。
※回答は330施設

●それぞれが定めている職員の定数に満たない施設→145施設(44%)
このなかには、国の基準で最低限必要とされる職員数にも満たないところが9施設も。

●どれだけ定数に足りていないか?
◇1~3人→87施設(60%)
◇4~6人→44施設(30%)
◇10人以上→4施設

職員不足の与える影響

職員不足は利用者にも影響し始めている。

職員が足りない為、部屋が空いても新たな入居者を受け入れないなどの対応をしている特養が9施設あり、このうち3施設は10~40部屋を閉鎖していた。

また、自宅で暮らす高齢者を一時的に預かるショートステイをやめた特養が2施設、ショートステイの受け入れを減らした特養も7施設あった。
(朝日新聞2015/1/5記事参照)