トイレで尿を出し切ったはずが、後で漏れていた。そんな中高年男性の悩みに応えるケア製品の開発に衛生用品メーカーが力を注ぎ、この秋(2015年)、大手の製品が出そろった。
中高年の尿漏れ・尿失禁ケアと対策とは?
男性の尿失禁とは?
男性は女性に比べて尿道が長く、尿道にとどまった尿の一部が衣服を整えた後に漏れ出すことがある。
これは「排尿後尿滴下」といい、50代以上の男性では3人に1人が軽軽しているともいわれる。
尿失禁ケア
男性の軽度尿失禁はセルフケアで症状を改善できるケースがある。
小牧市民病院排尿ケアセンター部長の吉川医師は「陰嚢の付け根から尿道の先へ圧迫しながら絞り出すミルキングという動作には、尿道にとどまった尿を外へ出し切る効果がある」と助言する。
さらに、排尿障害に悩み女性と同じように「骨盤底筋トレーニング」を勧める。
男性の場合、排尿を途中で止めるイメージで5秒間、筋肉を締める。
今度は5秒間かけてゆっくりと緩める動作を繰り返す。
これで1回と数え、8~10回1セットで朝昼晩など、それぞれ2,3セットずつ続ける。
3か月程で効果を実感できる人が多いという。
尿漏れと病気
東京都リハビリテーション病院の鈴木副院長(泌尿器科)は、尿漏れに深刻な病気が潜んでいる場合があると注意を促す。
尿漏れの一種である「溢流性失禁」は尿を出せずに膀胱に残る大量の尿があふれ出す現象で、放っておくと命に関わることがある。
膀胱内の尿が細菌に感染し、それが尿管から腎臓へ逆流すると腎盂腎炎を起こし、腎不全の原因にもなる。
目に見える血尿は、膀胱がんや結石が原因であることが少なくない。
「尿が赤い場合や白濁していた場合は泌尿器科を受診して。尿漏れの原因はさまざまで、肥満や前立腺がん手術が関係していることもある」という。
ちょい漏れケア製品
尿失禁は長らく女性の悩みととらえられてきた。
男性専用品が出てきたのは昨春(2014年)以降だが、今年(2015年)10月には主要メーカー5社の製品が出そろった。
生理用品から発展した女性用をベースにしているが、男性は下着の中で尿の出口が動いてしまうのが特徴。
製品の形は様々で、メーカーの試行錯誤の跡がうかがえる。
≪ユニ・チャーム≫
尿の吸収量別に20㏄から200㏄まで4種類をそろえ、現時点でシェア1位。
ユニ・チャーム男性用 尿失禁・尿漏れパット 楽天
≪花王≫
吸収量50㏄で長さが36センチあり、「1枚で夜までOK」と安心を強調する。
(朝日新聞2015/10/30記事参照)