政府が策定する「認知症国家戦略」の全容が明らかになった。
2025年には65歳以上の約700万人が認知症になるとの新たな推計を示し、本人や家族の視点を重視した施策を進めるとしている。
認知症の割合
厚生労働省が国家戦略案で示した推計によると、国内の高齢者(65歳以上)の約15%が認知症と推計され、その総数は2012年時点で462万人にのぼる。
およそ7人に1人だ。
これが団塊の世代が75歳以上になる2025年には、65歳以上の5人に1人にあたる700万人前後に増えるという。
65歳未満の若年性認知症も2009年の調査で約3万8千人と推計されている。
国家戦略案
国家戦略案は若年認知症施策の強化など7つの柱を掲げた。
認知症の人への理解を深めるため、全国的なキャンペーンを実施。
認知症の人が自らの言葉で語る姿を発信する。
学校現場でも理解を深める教育を進める。
施策づくりや政策評価に、認知症の人や家族が関わることも推進する。
また厚労省が認知症対策の5か年計画「オレンジプラン」で盛り込んでいた数値目標を引き上げる。
理解を深める「認知症サポーター」(2014年9月時点で545万人)は、2017年度末の目標数を600万人から800万人に上積みする。
認知症の人が入る施設
一人暮らしや夫婦だけの高齢世帯が増え、自宅で介護が受けられずに介護施設や病院に入る人も多い。
厚労省が2010年時点で日常生活に支障をきたす症状などがある認知症の高齢者の居場所を調べたところ、在宅の人施設や病院にいる人がほぼ半々だった。
認知症の人が自宅以外で暮らす場合、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)などが多い。
だが、興奮したり徘徊したりするなど症状が重い人は敬遠される例もある。
そうした人も受け入れているが、精神科病院や一般病院の精神科だ。
これらに入院する認知症の人は2011年に約5万3千人になり、15年前の約1.9倍に増えた。
認知症の人が入院した理由
富士通が総研が2013年、精神科病院に聞いた調査では、認知症の人が入院した理由(複数回答)は、「(興奮や徘徊など)行動・心理症状の悪化」が80%と最も多く、「介護者の事情(家庭・地域・施設での対応困難)」が42%、「家族の疲弊」が34%あった。
厚労省の2011年の調査では、精神科にる認知症の入院期間は1年以上が6割を占め、5年以上でも2割近くになる。
(朝日新聞2015/1/8記事等を参照)