今年(2016年)の春闘の大きな課題の1つがパートや契約社員など非正規労働者の待遇改善。
ただ、賃上げを掲げる労働組合も出てきたが、具体的な要求を盛り込む労組は5%に満たない。
それは何が原因なのだろうか?

「非正規(社員/労働者)」とは?

そもそも「非正規(社員/労働者)」とは何だろうか?
以前は、「(正規)社員」に対する労働形態としては、パート(タイマー)、アルバイト、派遣社員であった。
ここに「契約社員」が加わり、これらを総称して「非正規(社員/労働者)」と呼んでいるようである。

具体的には正規社員に比べて短い時間で働く社員のことを指す。

しかし、実際のところ、正規社員と同じ時間、働いている非正規も多い。

経営者の思惑

非正規は正規社員に比べて、賃金が安く抑えられているので、経営者としては安いコストで労働者を雇うことができる。

さらに、契約期間が決まっている契約社員は必要な時だけ、労働力を得ることができ、雇用を調整することが出来る。

企業で非正規社員の割合が増えたことにはこういった理由がある。

従って、非正規の賃上げ等の待遇改善は経営者にとって歓迎できることではない。

ただ、昨今の人材不足から、即戦力のある非正規社員を正規化する動きは見られる。
しかし、これは大企業の話。
国内の企業の大半を占める中小企業ではその余裕はない。

労働組合の思惑

組織率低下に悩む労組にとって、非正規社員の加入は存在意義に関わるテーマになりつつある。

実際、非正規社員の加入は増えている。
しかし、全体からすればごく一部。

労組の全体の大部分を占めるのは正規社員である。
増えつつあるとはいえ、割合の低い非正規社員の待遇改善を積極的にすすめると、正規社員の反発を招き、労組離れを起こす可能性がある。
組織率の低下は労組にとって死活問題なのでそれは避けたい。

結局、正規社員の待遇優先を第一に考えざるを得ず、それが正規社員の賃上げを具体的な要求に盛り込む労組が5%に満たないという理由であろう。
(朝日新聞2016/3/記事参照)