エステ業界で、働いている女性たちから「告発」が相次いでいる。
長時間労働や残業代未払い、パワハラといった問題を抱える職場に共通するのは、高い売上げ目標の存在。
ノルマ達成の圧力のなかで、多額の「自腹営業」をせざるを得ない人もいる。
たかの友梨ビューティクリニック
最近まで「たかの友梨ビューティクリニック」で働いていた20代の女性は、今も月末になる、あの頃の焦燥感を思い出す。
「とにかく数字」の現場で、月700万円のノルマを課せられたこともある。
ノルマ達成のため、さりげなく客に売り込んだ。
だが、売上げ目標に届かないことも多かった。
上司からやんわりと「協力」をうながされる。
女性は断りきれず、25万円の美顔器やマッサージ器具、栄養剤やパックなどを自腹で購入。
給与は業績と連動し、多いときで額面月25万円ほど。
家賃のない寮住まいで「給料は十分」と感じていたが、自腹購入は多い月で20万円にのぼった。
有給休暇も自由に取れず、疲れ果てて退社。
派遣エステシャン
ホテルにエステシャンを派遣していた仙台市のエステ会社で働いていた20代女性は、月50~60万円のノルマが課せられていた。
達成すれば1万円の手当てがでるが、「それより恐怖心で仕事をしていた」
ホテルの宿泊客が少ない平日は、売上げゼロのことも。
施術したことにして、1日3千円ほど自腹で払うことが何度もあった。
入社前に約束されていた社会保険や賞与、昇給はなし。
社長は雇用調整助成金の不正受給の容疑で昨年逮捕された。
女性は元同僚と、会社に残業代支払いなどを求めて提訴した。
エステ事業者の認定
美容の為の痩身や脱毛などを行うエステサロンは全国に1万店ともいわれる。
矢野経済研究所によると、施術だけでなく、化粧品などの物品販売に重点を置く事業者も増えている。
優良なエステ事業者を認定する認定NPO法人日本エステティック機構は9月(2014年)、「たかの友梨」の優良認証を取り消した。
高野友梨社長が労働組合に入った従業員に対し、「労働基準法を守ったら会社はつぶれる」など法令違反を認める発言をしたため。
今年3月には、客に対して4時間以上もしつこく勧誘したとして行政処分を受けた大手のTBCにつちえも、認証を取り消した。
問題の背景には下記の事情が一因にあるようだ。
大手は広告費が大きく、従業員の給与も比較的高い。
コスト回収のため、営業目標も高くなる。
(朝日新聞2014/10/10記事より)
だが、最低限のルールも守れない経営者に経営の資格はない。
それ以前に最低限のルール(労働基準法)の何たるかを理解している経営者(管理職)は皆無ではないか?
政府は、就業者や失業者の能力開発ばかり力を入れるが、まずは、管理職以上の人に基本的なルールを教育することが必要だと思う。
職場が働き易くなれば、パワハラ等によって離職する人は減り、雇用も確保できるはずだ。