転職市場が活況だという。
景気の回復で有効求人倍率は22年ぶりの高水準で推移し、人手不足のため積極的に中途採用に乗り出す企業が増えている。

転職市場の現状

就職情報会社のマイナビの転職情報サイトの登録者は、リーマン・ショックのあった2008年は約136万人だったが、2014年に倍以上の300万人を突破した。

正社員として働きながら転職活動をする人も増えている。
担当者は「2008年以降続いた厳しい求職戦線で希望の会社や職種に就職できなかった若手も、転職市場に流れているのでは」という。

有効求人倍率

転職市場の盛り上がりは、雇用環境の改善の裏返し。
厚生労働省が発表した8月(2014年)の有効求人倍率(季節調整値)は3ヶ月連続で1.10倍をつけ、1992年以来の高水準が続く。

求人が求職者より多い「人手不足」の状況を示す1倍超えは、10ヶ月連続。
回復が遅れていた近畿2府4県も8月も1.03倍だった。

完全失業率

といっても、希望した仕事にすんなり就けるとは限らない。

総務省が発表した完全失業率(季節調整値)は、前月より0.3ポイント下がって3.5%。

女性の失業率は0.5ポイント低下の3.2%と18年ぶりの低水準になったが、これは失業率を算出するうえで「分子」にあたる完全失業者(職がなく求職活動中の人)のうち、女性が16万人減ったことが影響した。

総務省は「仕事を探す女性は増えているが、就業できずに仕事探しをやめた人たちが出ている」と説明する。

男性の失業率は横ばいの3.8%だった。

転職市場の現実

女性が仕事探しをやめる背景にあるのは、雇用のミスマッチ。
正社員だけの有効求人倍率は0.68倍と、1倍を大きく割り込む。

近畿の職業別の求人倍率をみると、建設が3.06倍、介護サービスが2.37倍なのに対し、一般事務は0.24倍で「人余り」の現実がある。

正社員や事務職は「狭き門」だ。
(朝日新聞2014/10/1記事より)

≪コメント≫
全体で見ると有効求人倍率は改善されているが、実際は業種・職種に偏りがあり、実際に就職活動を始めてみると、希望する仕事と求人の中身が合わないミスマッチを体験することになる。

表面的な数字に踊らされないことが肝心だ。