大学を卒業したものの就職せずに、新年度開始時に専門学校へ進学する人は1万6千人以上。
背景には厳しい雇用の問題がある。

専門学校とは?

専門学校とは、主に職業教育を担う専修学校の中で、高校卒業程度以上が対象の「専門課程」を設置する学校のこと。

全国に約2800校あり、高校新卒者の約17%が進学する。
修行年限は1~4年で、2年以上の過程を修了すれば「専門士」、4年で大学院に進学できる「高度専門士」の称号を得られる。

文部科学省の学校基本調査によると、大卒で新年度開始時に専門学校へ進学する人は1万5千人以上。

短大や高専の卒業者を含めると2万人を超える。

入学者に占める割合は、1990年代末に3.6%だったが、その後は5%台になった。
リーマン・ショック後はさらに増加し、2010年には7.3%に上った。

専門学校進学の背景

大卒生の専門学校への進学の背景には、やりがいを求める学生の気持ちだけでなく、「大卒」と雇用のミスマッチがあるようだ。

大学進学率が上昇し、大学新卒者が毎年55万人程度に達しているのに、企業の大卒採用数は30万~38万人程度にとどまっている。

職業実践専門課程とは?

政府も専門学校の役割に注目し始めている。

この4月(2014年)から専門学校の「職業実践専門課程」という認定制度が始まった。

企業と密接に連携している学校に国が「お墨付き」を与える制度。

授業カリキュラムを編成する際に企業の意見を聞いたり、単位認定されるインターンシップなどの実習を組み込んだりすることが条件。

初年度は全国の専門学校の2割近くにあたる472校の1373学科が認められた。

背景には、日本の企業が「企業内教育」にかけるコストを減らしたことや、福祉・情報・観光など新しい分野での専門家育成が必要になったことなどがある。

4つの学科が認定された情報科学専門学校には、学内に学生が自由に使える「工房」がある。

ジェスチャーで操作する新技術を使ったゲーム、サイバー攻撃の実習ができるシステムなど個人では手に入りにくい最新機器が並ぶ。

専門学校の問題点

大学を出れば「学位」が得られるが、専門学校を出て得られる専門士は称号に過ぎない。

職業の高等教育を受けた人たちを学士と同等に扱う制度があるドイツや韓国とは違い、日本の専門学校は、「6・3・3・4」の単線からみて「傍流」の位置づけだ。

日本の大手企業に対し、外資は比較的、専門卒の学歴に対する抵抗感が少ない。

最近は、専門学校で学んだ優秀な学生が外資系の大手企業に進む例が増えてきているという。
(朝日新聞2014/4/2記事より)