厚労省が発表した4月の毎月勤労統計調査(速報)で、働き手1人(パート含む)が受け取った現金給与総額は、前年同月より0.9%多い27万4761円だった。だが、実質賃金指数は同3.1%減だった。

実質賃金指数が低下

現金給与総額の増加は2ヶ月連続だが、消費増税の影響で物価上昇分を除いた実質賃金指数は同3.1%減だった。

落込み幅は、リーマン・ショックの影響による2009年12月(4.3%減)以来だ。

実質賃金が減るのは10ヶ月連続。

今回は消費増税でモノやサービスの値段が上がり、前年同月比1.3%減だった3月よりも家計収入の目減り幅が拡大した。

現金給与総額は上昇

月々の基本給や残業代などの手当を加えた現金給与総額は、残業代や手当てが増え、名目の総額は前年より多くなった。

一方、基本給は春闘の賃上げにより増える企業もあったが、短時間勤務のパート労働者の比率が増えたことで、1年前より0.2%少ない24万3,989円と23ヶ月連続の減少。

また、この日発表された雇用保険統計データのプログラムミスの影響で、2009年1月から今年(2014年)3月分までの増減率や1952年以降の指数データなど、発表済みの統計の一部を0.1ポイント程度、訂正した。
(朝日新聞2014/6/3記事より)

コメント

統計数字には注意が必要だ。
平均はあくまでも全体の平均であり、ケースバイケースで異なる。

まず、「毎月勤労統計調査」は常用労働者を5人以上雇用する事業所について毎月行われている。即ち5人未満の事業所は対象になっていない。
※常用労働者1~4人規模事業所については年1回、特別調査が行われている。

現金給与総額は、正社員とパート等の短時間勤務労働者とでは大きく違う。
ざっくり、正社員が40万、短時間勤務労働者は10万といった感じだ。
この平均が現金給与総額になる。

さらに、比較するデータも、「対前年」と「対前年同月」の2種類がある。
何よりも問題は、実質賃金が3.1%減っているということだ。
消費税だけでなく色々な控除の廃止等に伴う国民の負担は増大している。

全体の現金給与総額が上がったというだけで政府は景気回復と浮かれるが、国民の生活の実情をしっかりと把握し、政策を立てるべきだ。