春闘で非正規社員の問題に正面から取り組む労働組合は多くない。
大半の労組は正社員が多くを占めるからだ。
しかし、非正規社員の賃上げに取り組む労組もある。
労組の現状
働く場では非正規社員が増え、労組の組合員数は減り続ける。
1990年台から物価が下落するデフレが続くと、物価上昇に対抗するという名目で賃金を獲得するは難しくなった。
労組に入るメリットや春闘の意義を見出しづらくなったことも響き、労組の組織率も低迷する。
しかし、働き手の賃金を底上げさせるという意味で、春闘の役割は重い。
春闘の役割
例年、春闘が最も注目されうのは、大手企業の回答が集中する3月。
だが、企業の大多数を占める中小の労使交渉は、大手の結果を受けた4月以降に本格化し、夏前まで続く。
その結果は、国や地方の審議会が地域別に定める最低賃金の審議に影響を与える。
最低賃金は、労組に入っていない働き手や非正規社員にも適用され、賃金全体の底上げにつながる。
大手製造業の労組を束ねる金属労協は、来春闘で加盟する全組合が企業内の最低賃金の取決めを会社側と結ぶことを目指す。
これも非正規社員の賃金の値上げにつなげる狙いだ。
春闘に詳しい早稲田大学社会科学総合学術院の教授は、こらからの春闘の役割んついて、「組合に入っていない人も含めた働き手の処遇の底上げが重要。
個別の労使交渉にとどまらず、各地で地元企業などを巻き込み討論する場をつくるなど、社会に向けてより開かれた場にすべきだ」と話す。
非正規社員の賃上げに取り組んだ労組
同じ職場で働く非正規社員たちをめぐり、大阪のポンプ製造販売会社、鶴見製作所の労働組合で議論が起きたのは2006年。
労組は2006年の春闘で、契約社員の賞与について正社員と同じ5か月分を要求んし、勝ち取った。
労組が契約社員にアンケートをすると、加入希望者が大半だったため、2009年から組合に入れるようにした。
その後も春闘を通じ会社に訴え、契約社員の住宅地域手当や通勤費などを正社員並みに充実させてきた。
現在は約600人いる組合員の1割強が契約社員だ。
今春闘では契約社員を正社員に登用する制度の新設を求めた。
(朝日新聞2014/12/26記事参照)