慢性的な看護師不足が続く中で、「看護師紹介ビジネス」が広がっている。
就職や転職する看護師の4人に1人が利用しており、全国の病院が紹介業者に支払っている紹介料は年約250億円になるという。
看護師紹介ビジネスとは?
全国約2500の病院が加盟する全日本病院協会が2013年夏に調べたところ、過去3年間に看護師の紹介業者を利用したことがある病院は7割にのぼった。
東京、大阪などの大都市圏に限ると85%になるという、。
紹介料は看護師の年収の15~25%程度で、約100万円が相場だという。
年約15万人いる就職・転職者のうち、4万人前後が利用しているという。
業者は全国に数百社あるとみられる。
問題点
なかには紹介料を多く稼ごうと、強引に紹介を成立させる業者もある。
看護師の希望を無視して、とにかく採用してくれる病院に就職させる。
その看護師が「希望と違う」と訴えてきたら別の病院に転職させ、さらに紹介手数料を稼ぐケースもあるという。
紹介する看護師を確保しようと、業者は数千円の商品券や金券で引きつける。
さらに就職が決まれば「お祝い金」として現金を支払う業者も多く、50万円にのぼる事例もくぁる。
紹介料には、税金や保険料、患者の窓口負担でまかなわれる診療報酬が使われている。
看護師紹介ビジネス人気の秘密
病院が看護師を集めるために、かつては独自に求人したり、各都道府県が実施している紹介事業を利用したりするのが一般的だった。
看護師でつくる各都道府県の看護協会は、各都道府県の委託を受けて無料で看護師を紹介する「ナースセンター」を置いている。
ただ、看護師への知名度が低いこともあり、紹介実績は右肩下がり。
2012年度はピーク時の半分以下の約1万2千人に落ち込んでいる。
看護師紹介ビジネスが一気に広がるきっかけになったのが2006年の診療報酬制度の改定。
厚生労働省は、重症患者に高度な医療を提供するために看護師を手厚くした病院に対し、報酬を増やす仕組みを導入。
その結果、病院間で看護師の争奪戦が起きた。
それに前後して紹介業者がネットで幅広く求人し、病院に有料で紹介する事業が登場、現在の状況につながる。
厚生労働省の対策
各都道府県のナースセンターをてこ入れしようと、2014年から公共職業安定所の求人情報を全国のセンターに提供する。
看護師資格を持つ人をセンターに自動的に登録し、就職を促す仕組みも2015年度以降につくる方針。
(朝日新聞2014/1/6記事より)
資格があるのに働いていない「潜在看護師」は約70万人いるとされる。
それは何故なのか?
また、そもそも看護師不足が深刻化するきっかけとなったのは診療報酬の見直し。
お上のやることは常に現場を振り回す。
つけを払うのはいつも一般庶民だという観点が抜けている。
いい加減に助成金中心主義は改めてもらいたいものだ。