雇用がトータルで見ると、改善傾向だ。
有効求人倍率は、リーマン・ショック後の2009年に0.42倍まで落ちてから緩やかな改善が続いていたが、6年1ヶ月ぶりに1倍台に戻した。
とはいえ、地域や業績による差はなお大きく、回復はまだら模様。
求人の過半数を非正規社員が占めており、「質」も課題である。

求人数が伸びた業種

円安による輸出増などを背景に、製造業の新規求人数(原数値)が前年同月比で20%増えた。

中でも自動車メーカー関連メーカーは、消費増税前の駆け込み需要を受けて求人を増やしている。

また、建設業も復興需要などを追い風に11%伸びた。

求人倍率と就職率

「求人倍率1倍」がイコール「職探しがしやすい」というわけではない。

就職を申し込んだ人で、実際に仕事に就けた人の割合を示す「就職率」は3割台。

企業と求職者それぞれに、希望する職種や労働条件の「ミスマッチ」が起きている。

正社員の求人枠

11月の有効求人数225万人のうち、正社員の枠は93万人と4割どまり。
ほかは非正規社員の枠。

トヨタ自動車系のある部品メーカーは、正社員は原則、退職する人の穴埋めしか採用しないという。

求人の地域差

47都道府県で有効求人倍率が1倍を超えたのは、東京(1.46倍)や愛知(1.44倍)など計21.
近畿2府4県では、大阪が1.03倍、スマートフォンなどの部品工場が多い滋賀(0.91倍)や京都(0.96倍)は製造業の求人が増えつつある。

これに比べ先日、プラズマパネルの生産を終えたパナソニック尼崎工場がある兵庫(0.78倍)は回復が遅れている。

さらに遅れが目立つのは九州・沖縄。
九州はかつて半導体生産で国内4割のシェアを占めていたが、アジア勢の台頭で工場が次々と撤退し、製造業の求人に勢いがない。
(朝日新聞2013/12/28記事より)