政府の産業競争力会議は、労働時間にかかわらず賃金が一定になる働き方を一般社員に広げること検討する。

労働基準法では?

労働基準法では1日の労働時間を原則8時間として、残業や休日・深夜の労働には企業が割増賃金を払うことを義務づけている。

いまは部長級などの上級管理職や研究者などの一部専門職に限って、企業が労働時間にかかわらず賃金を一定にして残業代を払わないことが認められている。

検討内容

企業には人件費を抑えたり、もっと効率的な働かせ方を取り入れたしたいという要求がある。

そこで、上級管理職や研究者などの一部専門職以外にも「残業代ゼロ」の対象を広げるよう求める。

対象として、年収が1千万円以上など高収入の社員のほか、高収入でなくても労働組合との合意で認めれた社員を検討する。

いずれも社員本人の同意を前提するという。

また、当初は従業員の過半数が入る労組がある企業に限り、新入社員などは対象から外す。

過去の拡大案

第1次安倍政権(2006~2007)でも、高収入の社員を対象にした「ホワイトカラー・エグゼンプション」として法改正を目指した。

だが、「残業代ゼロ法案」や「過労死促進」との批判を受け、断念した。

今回は対象をさらに広げる。

民間議員らは、多くの人が働く時間や場所を選べ、国際的な仕事を時差を気にせず進めたり自宅で仕事がしやすくなったりすると主張する。

(朝日新聞2014/4/22記事より)

問題点

企業が社員を長時間働かせうえで賃金を抑えたり、歯止めなく労働時間が長くなったりする恐れがある。

安倍政権は、経済特区や、労働規制の緩和を次々に打ち出す。
他にも、従業員の解雇ルールの整備や派遣労働の拡大などを進めようとしている。

まるでブラック企業を支援するかのような政策である。

労働者の労働環境は悪化する一方だ。

一体、何を目指しているのか?
労働者にとっては、何一つ良いことはない。

分からないのは、「年収が1千万円以上など高収入の社員のほか、高収入でなくても労働組合との合意で認めれた社員」を対象にするということ。

そもそも、高収入社員は現在認められている「上級の管理職」、「裁量労働」で働く専門職の社員だと思う。

平社員で高収入の社員がいるとは思えないが。

さらに、「収入が高くなくても会社と労道組合が合意した対象者」。
これがさっぱり分からない。
具体的にどういう人が対象になるのだろうか?
そもそも、労働組合が「残業代ゼロ」を容認するとは思えないが。