厚労省が発表した3月(2014年)の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0.02ポイント高い1.07倍になり、わずかに改善した。
一方、総務省が発表した完全失業率(同)は前月と同じ3.6%で、企業の人手不足感を裏付けた。

有効求人倍率の実情

有効求人倍率はハローワークで仕事を探す人1人に何人分の仕事があるかを示す。
5ヶ月続けて1倍を超え、仕事を選ばなければ全員が職に就ける状態だ。

ただ、求人は依然として非正規が多く、正社員希望者だけでみた求人倍率は前月より0.02ポイント低い0.65倍(原数値)にとどまる。

働き手が希望する職に就ける環境にはなっていない。

地域別では愛知が1.55倍でトップ。
全国最低は沖縄の0.63倍だった。

完全失業率

完全失業率は15歳以上で働く意欲がある人のうち職がなく求職活動をしている人の割合で、低くなるほど雇用環境が良い。

3月は男性が前月と同じ3.7%、女性が0.1ポイント高い3.4%だった。

完全失業者数(季節調整値)は前月より3万人多い236万人だった。
働いている人と休業している人を足した就業者数(同)は14万人多い6346万人だった。

近畿の求人倍率

近畿2府4県では、3月の有効求人倍率が前月と同じ1.00倍だった。

求人の半数を占める大阪で商業施設の開業ラッシュが一段落し、倍率は全国ほど上がらなかったが、「製造業の求人が堅調で、改善は続いている」(大阪労働局)という。

3月の完全失業率は4.4%。
季節調整値でなく前月と比べられないが、前年同月より0.5ポイント改善した。
(朝日新聞2014/5/2記事より)

数字の裏側

「求人倍率が改善」、「失業率が低い水準」ということだが、数字には注意が必要だ。

平均値は実態とはかけはなれている場合がある。

求職と求人のミスマッチ、これが問題である。

正社員だけの求人倍率をみると、0.65倍。
しかもこれは平均。
業界別に見るとバラつきがある。
希望者の多い業界ではもっと倍率は下がる。

そして、求職が少ないが求人が多い業界では「人手不足」が生じている。
中々うまくいかないものだ。

職を選ばなければ仕事はあるというが、この中には勿論、ブラック企業も含まれる。

結局、人手不足の業界では外国人労働者を増やすということになるのだろうか。